ここでは、不妊にとっての“身体を温めること”の重要性と、鍼灸でできるアプローチ・効果を紹介していきます。
冷えが生殖機能を低下させ、不妊の原因になっているケースが多いことをご存知でしょうか?
冷え性や低体温の人の場合、血液の循環が悪くなっています。血液には身体のエネルギー源となる酵素や栄養素、身体の調子を整えてくれるホルモンなどが含まれているため、これらがうまく行き渡らなければ、卵巣機能や黄体機能といった生殖機能の低下につながります。
つまり、身体が冷えている(=血流が悪い)と、生殖機能が落ちるのです。生殖機能が低いということは妊娠しづらいということですから、冷えは妊娠の大敵と言えます。妊娠を望んでいるのであれば、身体の冷えはできるだけ防がなければなりません。
“冷え体質の改善に鍼が効く”というのを、一度は聞いたことがあると思います。この効果は確かなものと言われていますが、実は、鍼灸における冷えの改善治療では、冷えが生じている身体の部位のみを施術するわけではありません。内臓の機能を整えながら、全身の血の巡りが良くなるように、身体全体をみて施術を行なっていきます。
そもそも鍼灸の効果の大きな特徴は、“人間が本来持っている自然治癒力を高めることで免疫力をアップさせ、病気になりづらい身体をつくる”というものです。
東洋医学においては、身体が健康であれば血液は常に正常に流れていると考えられています。しかしどこかに異常が生じると血流は悪化し、「経絡(血液が交差する部分)」で血液が鬱積しやすくなり、新鮮な血液が体内に流れなくなります。すると疲労物質が溜まり、免疫力は低下し、さまざまな身体の不調が生じる…と考えられているのです。
そこで、鍼灸によって血液が鬱積している経絡を刺激し、全身の血流の改善を図ります。血の巡りが改善されれば本来の免疫力を取り戻すことができ、病気になりづらい健康な身体になれる…というわけです。この考えこそ、鍼灸の原点と言えます。
鍼灸を受けた後に冷え性が改善されたという声を多く聞きますが、これはつまり、鍼灸治療によって全身の血流が良くなったことで、結果的に冷えの症状が緩和した、というケースだと言えるでしょう。